会社の枠組みを超えて、自分の力でビジネスをつくりたい。そう考える20〜30代のビジネスパーソンが増えています。
その第一歩が「新規事業のテーマ設定」。
しかし、ここで多くの人が「アイデアが思いつかない」「どの市場を狙えばいいかわからない」とつまずきます。
実は、新規事業のテーマ設定は「発明」ではなく、「発見」の営みです。
本質を押さえれば、誰でも筋の良いテーマを見出すことができます。
本記事では、これまで私自身が企業で事業開発をしてきた経験を踏まえながら、
新規事業のテーマを設定する際の5つの視点を紹介します。
1. 「誰の、どんな課題を、どう解決するのか？」を明確にする
新規事業のテーマは、端的に言えば「課題解決の仮説」です。
技術やアイデアからスタートするのではなく、「誰（ターゲット）」が「どんな状況で困っているのか（課題）」を起点に考えるのが鉄則です。
たとえば、「リモートワークをしている育児中の共働き家庭」をターゲットにした場合、次のように整理できます。
-
誰：0〜3歳の子どもを育てる共働き世帯
-
課題：リモートワーク中に子どもの面倒を見るのが難しい
-
解決：在宅ワーク支援型ベビーシッターサービス、またはオンライン保育サポート
このように、「誰」「どんな課題」「どう解決するか」をセットで明確にすることで、事業の軸が定まります。
2. 「情熱」と「経験」が交わる領域で探す
新規事業は長い旅です。上手くいかない時期の方が圧倒的に多い。
そんなとき、情熱と経験がなければ簡単に折れてしまいます。
（ぼくも心が折れそうな経験は何度もあります）
長い旅を乗り切るために、まずはテーマを設定しましょう。
テーマ設定のときは、次の2つの円を描いてみましょう。
-
円A：自分が情熱を持てる領域（子育て、スポーツ、音楽、環境など）
-
円B：自分がこれまで培ってきた経験・スキル（営業、IT、教育、法律など）
この2つの円の交差点に、あなただけの強みが眠っています。
たとえば、「教育×IT×子育て」が交差するなら、「子ども向けのデジタル教育サービス」などがテーマ候補になります。
3. 市場の「変化の兆し」に敏感になる
良い新規事業は、社会の変化に沿って生まれます。
今、世の中で起きている「小さな変化」に注目しましょう。
ぼくの経験上、新しいビジネスを考える方はいつも外にアンテナを張っています。
特に以下のようなトレンドは、新規事業のテーマの宝庫です。
-
法改正（例：インボイス制度の導入）
-
働き方の変化（例：副業解禁、週休3日制）
-
技術の普及（例：生成AIの活用、ブロックチェーン）
-
社会問題の顕在化（例：少子高齢化、メンタルヘルス）
こうした兆しをいち早くキャッチし、「この変化によって誰が困っているか？」という視点でテーマを見つけていきましょう。
4. 「やらないこと」を明確にする
テーマ設定で見落とされがちなのが、「やらないこと」を決めること。
特にリソースが限られている個人や小さなチームでは、「全部やる」は致命的です。
-
B2Bか、B2Cか
-
ITか、リアルビジネスか
-
短期収益重視か、長期視点重視か
-
マスを狙うか、ニッチを狙うか
こうした軸で「今回はここを狙う」「ここは手を出さない」と線を引くことで、テーマがより明確になります。
5. 小さく試せる構造になっているか？
最後に大切なのが、「すぐに検証できるテーマか？」という視点です。
これは、本当に大事です。
頭の中で完璧に構想しても、ユーザーが使ってくれなければ意味がありません。
-
まずは5人のターゲットユーザーに話を聞けるか？
-
簡易的なサービスを数日で立ち上げられるか？
-
LINE、Notion、Googleフォームなどノーコードツールで試作できるか？
このように、小さく、早く試せる構造になっているテーマほど、前に進めやすく、学びも早いのです。
まとめ：テーマは「決める」ものではなく「磨く」もの
多くの人が「完璧な事業テーマを最初から見つけよう」としますが、実際にはそんなものは存在しません。
最初のテーマはあくまで仮説です。動きながら検証し、何度も軌道修正して「磨いていく」ものです。
大切なのは、「動けるテーマ」を持つこと。
そして、動く中で得た気づきをテーマに還元し続けることです。
「何をやるか」より「なぜやるか」—
この問いに誠実に向き合う人ほど、結果的にユニークで価値ある新規事業を生み出しています。
新規事業のスタートは、いつだって小さな気づきから。
あなたも今日から、自分だけのテーマを見つける旅を始めてみませんか？
